もう2020年だと信じられますか?ちょっと前に2018年の振り返りを書いたばかりのような気がしますが、今はもう新しい10年間の始まりにいます。
2010年代には、多くのことが起こりました。どこから話せばいいのか分からないくらいです。アイスバケツチャレンジが流行り、アイアンマンが登場して指パッチンで終わり、皆既日食が起こり、世界中がポケモンGOに夢中になり、死体ごっこが一時流行し、デカプリオがついにアカデミー賞を獲得し、そして『Serial』のおかげでポッドキャストが浸透しました。私たちタブーラは、2007年から使用していた最初のサーバーを廃棄しました。何と、現在では8,500台のサーバーを使用しています。
また、みんなが競い合って進化させてきた技術は、人々の日々の生活の一部となりました。たとえばiPhoneは、私たちのコミュニケーションと仕事のあり方を変革し、スマートフォンアプリを使ったビジネスの道を切り拓き、ギグ・エコノミー(ネットを介した単発の仕事が生み出す経済)を促進し、オンラインでのデートすら普通のものにしました。また、個人情報保護についての問題が表面化したり、マスメディアの合併、eコマースの爆発的な成長ももたらしました。
タブーラでの私たち自身の歩みも、こうした世界的な出来事の真っ只中にありました。未来や次の10年について語る前に、まずは過去を振り返ってみたいと思います。
Win-Win(対 Win-Lose)カルチャー
私は2007年にタブーラを創業したときのビジョンは、人々が気に入るかもしれないがまだその存在に気づいていないこと “Moment of next”の導き手となることで、オープンウェブを助け、ジャーナリズムのサポート役となるというものでした。今でも、これが私たちが目指すものです。(※Moment of nextに関する英文記事)
この業界においてどこに私たちが位置付けられるかを尋ねられるとしたら、私たちを差異化するのは「win-win」カルチャーである、とはっきり答えることができます。大規模プラットフォームの多くは、消費者に愛されている企業でさえ、その成長過程の大部分で他の企業、つまり彼らのパートナーを打ち負かしてきました。つまり「win-lose」戦略を基盤にした成長です。
勝者は成長しますが、そのパートナーは敗者となりました。
私たちタブーラはコンシューマーブランドではありません。また決して1社だけで生き残ることもないため、私たちが成長する唯一の方法は、私たちのパートナー、すなわちオープンウェブとジャーナリズムを成長させることにあります。私たちの未来は、私たちの最愛のパートナーの成功と共にあります。私たちのパートナーは、これまでウォールド・ガーデン(=SNSなどのクローズドなプラットフォーム)により多くを失ってきました。そこで私たちの出番です。私たちは、プレミアムパブリッシャー、デバイスメーカー、アプリ開発者、そして広告主、が勝者であり続けられるようにしたいと考えています。
私たちを信頼し、この10年間、特に2019年に、ビジネスを共に成長させるために尽力してくださった、世界中の数多くのパートナーに感謝します。ウォールド・ガーデンの外での成長を推進する上で私たちを信頼してくださいました。たとえば、アディダス、ホンダ、AIG、ネスプレッソなどの企業や、World Visionなどの非営利団体、そしてマイクロソフト、NBC、FOXスポーツ、CNBC、CBS、Ynet、ハフポスト、Le Figaro、産経、Reach、Axel Springer、News Corp Australiaなどのパブリッシャーです。改めてここで、心より御礼を申し上げたいと思います。
さらに、ソニー、Vivo、アメリカ・モビル、ZTEといった世界中のTaboola Newsのパートナーにも御礼を申し上げます。私たちの最も新しいプラットフォームであるTaboola Newsは、デバイスメーカーや通信事業者がタブーラのSDKを活用して、端末の販売時に「Apple News」のようなプロダクトを各デバイス上にも表示することができます。そうしてAndroidコミュニティの消費者を惹きつけ、ニュースを閲覧したユーザーをオープンウェブに引き戻すことができます。
2019年、タブーラの求人に10万人の応募がありました
昨年は、幸せなことに10万人以上からの求人応募があり、世界中の18のオフィスに約1,500人の従業員(「タブーラー」)を抱えるまでに成長しました。
規模の観点からは、私たちはオープンウェブ上で毎月5,000億件ものレコメンドを14億人に提供し、タブーラ上のコンテンツや情報が200億回以上発見(クリック)されています。(※このブログの投稿時点のデータ)
私たちは、パートナーとクライアントの成長と、その全体のエコシステムのために、懸命に働いてきました。そして2019年、私たちはデジタルの外の世界にも活動を拡げました。
- リクルーティングにおいて、多様性をカバーする人材紹介会社のみと提携することにしました。
- ロンドンを拠点とするカルチャーコミッティ「Taboola Inspire」を立ち上げ、欧州各地の慈善イベントでいくつかの非営利団体と協力しました。そして「Taboola Inspire」チームは多くの環境保全活動にも取り組んでいます。昨年、ロンドンのオフィスでは、7,000本のペットボトル、つまり2トンの石油と750kgの温室効果ガスを節約しました。
- ニューヨークの「Culture Committee」、バンコクの「Taboola Spirit」、イスラエルの草の根ボランティア組織は、持続可能性に焦点を当てたイベントの主催や協賛、女性のリーダーシップやAI教育への支援活動などにも取り組んでいます。
- 直近のセールスキックオフにおいて、初めて世界中の女性リーダーを集めたブレックファスト・ミーティングを開催しました。今後さらなる開催を予定しています。
ワークライフバランスに関して言えば、社内外で、必ずしも「startup-level-hard」という一生懸命働くことの重要性だけでなく、人生における仕事以外の大切なことやイベントとのバランスを取ることの重要性について述べてきました。大切なのは、多くの犠牲を払って「もっともっと成果を」ということではなく、むしろ私たちの時間の使い方を効率的にし、より長い時間を好きなことに使えるように優先順位をつけることです。
たとえば、私の場合、出張中ではないとき(全体の約60%)は、午前5時に起きて、まだ家が静かなうちに電話に出たりメールに返信したりします。可能であれば、レゴで遊ぶ時間を確保します(※インスタグラム)。これが、私が「瞑想」する方法なのです。7時15分からは父子の時間で、息子のOzと一緒に朝食を作り、それから彼を学校に連れて行きます。朝の日課をする時間がない場合は、夜遅くならないうちに帰宅し、Ozか生まれたばかりの娘のEllieをお風呂に入れるようにします。ときには、その後でクライアントに会いに出かけることもあります。
このように、私は出張中以外は毎日、子供や妻のVictoriaと充実した二人だけの時間を過ごすようにしています。家族は私を支え、幸せにするとともに、私をより良い人間に、そしてよりよいタブーラCEOにしてくれています。
赤ちゃんと共に一緒に「11」になる
EllieがOzzyに加われば、子供が1人いる家族から子供が2人いる家族に拡大するのだろう、と私は当然のように考えていました。
1足す1は2ですから…
しかし、私は間違っていました。ただ子供が1人増えただけでなく、私たちの家庭は1人の子持ち世帯から、集団のような家族へと変容しました。
すぐに私はその変化に気が付きました。OzzyはEllieから、またEllieはOzzyから学び始め、お互いに成長する機会が生まれたのです。本当に、それはとてつもなく大きな成長の相乗効果です。
このように私は、1+1は2ではなく、実際には11に近いということに気づきました。
2020年から2030年:”News-as-a-Service”による「秒単位から分単位」への我の道のり
2019年が過ぎ去り、2020年、そして次の10年が始まろうとしています。
私はジャーナリズム、オープンウェブ、そして広告主の未来については、とても楽観的に考えています。世界中のアプリ開発者、デバイスメーカー、そしてパブリッシャーを見わたせば、誰もが少しでも多くの
消費者を惹きつけようとしていることに気づきます。
消費者を惹きつける最良の方法はニュースとコンテンツの提供であり、これらの業界はそれらに応えようとしています。
実際に2019年には、News CorpがKnewzとニュースのアグリゲーションを開始し、CNNがニュースアグリゲーターNewsCoを将来立ち上げると発表し、AppleがApple Newsを強化して人々のiPhone使用時間を少しでも伸ばそうとしました。
ニュースは新しい「人を惹きつける題材」であり、それは業界にとって素晴らしいことです。
ニュースと、その中心となるコンテンツの将来像について話しましょう。
贔屓のチームのスコアを確認するためにアクセスされるだけだったスポーツアプリは、1日1分でも長く人々をそのアプリに留まらせるために、チームに関連するニュースを配信するようになりました。
症状をチェックするためにアクセスするヘルスケアアプリやサービスには、関連コンテンツやニュースが掲載され、人々はそうしたコンテンツを見ようとして画面に留まります。
すべての金融サービス、すべてのコミュニティサービス、すべてのユーティリティアプリ、すべてのライドシェアアプリなどが、ニュースやコンテンツを掲載できるようになり、同じような方法で私たちを惹きつけようとます。
さらなる価値を提供できる正しい方法を取れば、人々がコンテンツやニュースに費やす時間とエンゲージメントのレベルを高めることができます。これは、世界中の
すべてのサービスにおいて、人々が注目する時間を1日わずか数秒ではなく、数分に伸ばすことにより実現できます。
私はこの変革を「秒単位から分単位へ」と呼んでいます。
世界の今後の繁栄には、ジャーナリズムとオープンウェブが必要です。 それは、私たちの子供の世代やそのまた子供たちにとっても重要なことで、ニュースとコンテンツを最も適切な方法で、世界中のすべての可能なサービス、ハードウェア、およびサイトに届ける、次の10年の変革の一端に私たちが関われることを大変ありがたく感じています。
私たちは、永遠にWin-Winの企業であることにより、オープンウェブからの信頼を維持して適切なニュースを適切な瞬間に供給し、また人々を価値あるコンテンツに長く引き留めることができると考えています。
謝辞
タブーラの従業員の皆さん。
過去10年間に加わった方々なら、私たちの生活が変わったと同時に、私たちがこの業界のあり方を変えた、と感じてくれると思います。今後10年間で(スタートアップのままの規模拡大で)従業員数が2,000人から20,000人に増えると、私たちの生活は再び変わり、業界をさらに大きく変えるチャンスに恵まれるでしょう。
私たちの目標は、ジャーナリズムが抱える課題を解決することです。ぜひ実現しましょう。共に力を合わせて。
私たちにチャンスを与えてくれた世界中のタブーラの従業員の皆さん、パブリッシャー、広告主、そしてハードウェアメーカーの方々に感謝します。皆さんに約束します、私たちはまだスタートしたばかりだと。